2014年9月3日水曜日

温泉に行きたい!【国語担当】

日本人は、どうしてこうも「温泉」が好きなのか…。
その理由を求めて、まずは、温泉の歴史をたどってみることにする。
大和朝廷の頃から、温泉は、病気や怪我を癒す不思議な水として、神の湯と
崇められていたが、文献資料に登場するのは「古事記」・「日本書紀」などが編纂された
奈良時代。この時代の入ると仏教伝来の影響を大きく受け、次第に信仰の対象として昇華。
温泉(沐浴の功徳)と布教によって病を治そうとしたのだ。
源頼朝が鎌倉に幕府を開き、政治の中心が、関東に移ると関東・東北・甲信越などの温泉が
々に開拓されていく。戦国時代には、武士の療養地にもなっていた。
江戸時代になると一変。湯治場に庶民の出入りも許されるようになる。
温泉行きは次第に娯楽色が強くなっていく。ここに現代に生きる温泉観のルーツが
潜んでいるようだ。江戸時代に首まで浸かる現在の風呂の原型が登場。
ゆったりと湯に浸かって一日の疲れを癒す、という日本人独特の習慣が出来上がる。
明治に入ると、「日本の温泉医学の父」と言われるドイツ人医師ヘルツによって、
西洋医学に基づいた温泉医学や温泉地開発の指導が行われた。そして、多くの温泉地が
観光地化していく。高度成長期には、宴会の場として盛んに利用されるようになる。
現在は、利用者のニーズによって様々なタイプの温泉に分化してきている。

温泉は、含まれる成分により、異なる泉質を持つ。温度の違い、匂いの違い、色の違い
など、様々な個性を持っている。もちろん、効能もいろいろで、医学的に認められた効果も
たくさんある。また、温泉独特の「色」と「香り」が高揚度を高める。もちろん、
土地の風景や気候、風、特産物なども相まって、「温泉」の魅力は私たちを惹きつける。
 
ストレスの多い現代社会に生きる私たちにとって「癒し」は、不可欠である。
「転地効果」と言い、温泉に行くこと自体がストレスを解消し、療養効果を生み出すという
理論があるが、まさに、自宅のお風呂では、入浴剤の力を借りても、得られない効果である。

江戸時代に広まった庶民の旅、時代は変わっても、旅は、常に私たちに日常からの解放と
喜びと癒しを与えてくれる。温泉には、体をリラックスさせる成分(効能)があるし、
自然豊かな環境で湯につかることで精神的にもリラックスし、相乗効果をもたらす。
温泉に浸かるという独特の文化を、江戸時代から受け継いできた私たち日本人だけが
味わうことのできる最高の喜びがある。

「温泉」に歴史あり!紅葉の季節がやってくる。露天風呂で、太古の祖先と同じ風を受け、
綿々と受け継がれてきた温泉の文化に想いを馳せてみては、いかがだろうか。

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