2014年5月17日土曜日

数学の大先生【数学担当】

数学者の藤田宏先生の講演を聞く機会があった。
藤田先生は東京大学名誉教授で、数学オリンピックの初代理事長。
なんだか肩書きだけでもすごい人である。
ご年齢は85歳と高齢であるが、背筋はしゃんと伸びて興味深いお話を聞かせてくれた。
そしてなにより、穏やかな雰囲気と話し方で
あっという間にその魅力のとりこになってしまう。
ちっとも偉そうではないのだ。

今回の講演は、前半が「いかに数学があらゆる分野で影響を与えているか」という話、
後半はある数学問題の証明を講義するという2部構成だった。
前半では具体的に著名人の例を挙げ、なぜ数学が必要と感じられるかという話を
いくつかの例を示してくださった。
後半は1題の幾何問題をステップ毎にみんなで検討しあいながら
仮説を証明していくという形で進められた。
特に後半になってからの先生の声の張りはすばらしく、
話を野球のリーグ戦に例えて考えていくなど大変興味深いものだった。
さすが、長年大学で学生を指導してきただけあり
その講義は感動ものだった。
錆びついた私の脳みそも久々にオイルが注入されて、カタカタと動き出した。

今回印象的だったのは最後の質疑応答で「なぜ数学が好きになったか」という質問に
答えた先生の話である。
子供の頃は特に数学が好きだったわけではなかった。成績が悪いと親に叱られるから
勉強をしていたら得意になっていた(ここがすばらしい)。
中学を卒業するときに終戦となり、これまで受けていた教育や考え方が
全て否定され180度違うことが正しいと教えられた。
世の中が移りゆくものであるのなら、いつも揺らぎのない自然科学の世界に身を置こう
と考えた、という話だった。

最後に「数学はひとそれぞれの付き合い方がある」そうだ。
理系に進むならじっくりと取り組まなければいけないが、そうではない人たちも
どこかで何らかの形で付き合うことが大切だ。
数学が苦手な人たちも細くどこかでつながっていってほしい。



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