2013年3月13日水曜日

雪【国語担当】


卒業の歌の歌詞を比べていて…ふと気付いたことがある。
「蛍の光」「仰げば尊し」には、歌詞の中に「雪」のフレーズ。
「雪」を用いるということは、「雪=卒業式」という季節的な関連性。
「雪=学び舎の思い出の風景」という連想的な意味合いが考えられる。
しかし、地球温暖化の影響か、格段に降雪量が減少、卒業式(3月)に
もう「雪」は降らない。南北に長い日本では風景に地域格差が生じる。
北海道ではOKでも、すでに福島で…もうOUTだ!
「旅立ちの日に」では「鳥」だ。「鳥=飛び立つ=卒業=旅立ち=未来」。
いかようにも連想可能だ。

ところで、「雪」に動詞があることは、ご存じだろうか。
「雪ぐ(すすぐ)」。祓(はら)い清めるという意味で使われ、
「雪辱」という熟語がある。雪を見た目や性質で例える時、見た目=白。
性質=祓い清める・けがれのないイメージ。(代表的例:白雪姫の
ネーミングは、色白でけがれのない美しい姫のイメージからであろう)

中原中也の「生い立ちの歌」という詩がある。
「幼少期、私の上に降る雪は、真綿のようでありました。」
大変分かりやすい比喩(正確には隠喩)です。「綿=白=雪」(見た目)、
「真綿=ふわふわ暖かい=母の温もり」(性質)。素晴らしい比喩です。
比喩の大前提は、イメージしやすい類似性が明白であること。ですから
「見た目」は◎。しかし、「性質」は「雪=冷たい」からすると、相反する
比喩のように感じますが、「真綿(=暖かい)」に例えることにより、
イメージの差異という意外性が生じるという比喩の上級テクニック!
これぞ、中原中也の真骨頂!素晴らしい!
小学校5年生の時、「雪」を題材にした詩を書くという授業があったのだが、
皆、一様に「ゴミみたいにモサモサ降る」と書き、先生から
呆れられたことがあった。先生は、おそらく中原中也の詩を知って
いたのだろう…と今は思うのであるが、当時の私たちにとって、
雪はマイナスのイメージ(雪=寒い=外で遊べない=つまらない)が
大きいうえに、想像力(雪=ゴミ=ほこり)も乏しかったのだ。

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