2011年11月16日水曜日

「日本人の感受性 その③」【国語担当】

四季の移ろいを味わって(舌で)感じる…についての考察。

四季を持つ日本では、季節ごとの気候の変化が農作物に大きく
影響を与え、四季折々の作物が食卓を彩ってきました。
これらは、「旬」のものと言われ…他の時期よりも新鮮で
美味しく食べられる時期として、喜ばれています。

また、「初物を食べると75日寿命が延びる」などと珍重され、
「まずはご先祖様から」と仏壇に供えられたりもしています。
・目に青葉 山ほととぎす 初鰹  …という俳句があります。
「青葉」「ほととぎす」「鰹」ともに夏の季語です。
季語は、時期的には「旬」とほぼ同じです。が、行事や風習に
由来する食物(ひな祭り→ひなあられ→春)も季語には
多くみられるのが特徴です。

「旬」には、医学的な根拠もあり、冬が「旬」の根菜には、
体を温めてくれる効果。春の野草には、そのほろ苦さが
冬の冷えた体に刺激を与え、夏の果物や野菜は水分補給や
体を冷やす効果、秋のきのこや魚は冬に備えての脂肪貯蓄・
病気予防の効果があるそうです。

しかし、1970年代以降、地球温暖化、冷凍技術の発達、ハウス栽培、
輸送手段の高速化などにより、食材が一年中市場に溢れ、
「旬」の時期がわかりづらくなってきています。
1960年代の私の幼少期は、「旬」で溢れていました。
春の食卓は山菜づくし、夏休みにはラジオ体操の後、裏の
畑に胡瓜や茄子・とうもろこしを採りに行かされ(田舎は
基本、自給自足!)、秋になると、隣のおじさんからいちじくや
柿をもらい、祖母がイチジクを煮たり、柿は干柿にしたりして
おやつに出してくれました。冬になると、こたつでひたすら
みかん!!「手が黄色くなる」くらい食べました。

苦い思い出もあります。私は、7月生まれなのですが、
小学校4年生の時、初めての誕生会。
都会でしたら、ケーキやオードブル…が定番でしょうが、
祖母はまさに「旬」のものを用意していました。
「どじょう鍋」(田舎では最高の贅沢品でした)。
テーブルに運ばれた途端シーンとなり、友達の小さな悲鳴。
場が完全に「引いて」いるのが、一瞬でわかりました。
「蛇じゃないよ!」というのが精一杯(逆効果?)で、会は
お開きになりました…。私はそれ以来、「どじょう」が苦手です。
もしかしたら、友達も苦手になってしまったかも知れません。
野田総理、ごめんなさい(単なる「どじょう」つながりです!)。

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