2011年11月9日水曜日

「日本人の感受性 その②」【国語担当】

四季の移ろいを「聞いて」感じる…についての考察。
・秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞ驚かれぬる
これは、万葉集の収められている藤原敏行の歌ですが、
ここに、この考察のすべてが凝縮されているような気がします。
ふと耳に入った音(聞こえた)に四季の移ろいを
感じることはありませんか?
例えば、蝉の声で「夏だなぁ~」
夕方、虫の音で「まだ暑いけど秋なんだ…」とか。
歳時記から音に関する季語を抜粋してみると、
春…蛙・うぐいす・ひばり・すずめ
夏…ほととぎす・・蝉・蠅・蚊・水鶏・夕立・雷・祭り(太鼓)
秋…ひぐらし・虫の声(音)・こほろぎ・松虫・きりぎりす・台風
冬…ふくろう・木枯らし・吹雪・咳・くしゃみ・除夜の鐘
鳥や虫の声だけではなく、天文・行事・生活音なども季語に
見られるのは興味深いですよね。
音としての季語を詠み込んだ代表的な俳句に
・古池や蛙とびこむ水の音
・閑かさや岩にしみいる蝉の声
・咳をしてもひとり      …などがあります。
また、生まれ育った環境や思い出により、「私的な季語」
とも言いましょうか…思い出される季節があるでしょう。
私は…くどいようですが、福島のド田舎で育ったので、
虫の音三昧は、いうまでもなく!
冬になると、焼き芋屋さんの「ピ~」という煙突の音。
それから逆に、雪の降り積もる夜は
とても静かで(すべての音が雪に吸い込まれるのでしょうか?)
明け方、車のチェーン音・除雪車が通る音。
夏はカランコロンと響く下駄の音。温泉街でしたので、
夏の夕方は旅館の客が、そぞろ歩く(酒を求めて?!)。
また、ちょっとした効果音にも、行事から季節を連想しますね。
この時期、鈴の音を耳にするとクリスマスって感じですし
琴の音を聞くと、お正月って感じでしょ!
音楽(歌)からも思い出とともにその季節が思い出されたり
しますね。厳密には、耳で感じる…だけではなく、同時に
目で見て、肌で感じ、鼻で感じ、舌で味わい…
脳裏に焼きついていくのかもしれませんね。

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