2015年11月14日土曜日

劇団綺畸(キキ)

次男だからか、家族の中ではお味噌扱いされていた次男が大学生になり
演劇サークルに入ると聞いたときは心底驚いた。
家にいるときは小声でモソモソと話をしているし、自分から人前に出ていくタイプでもないから。

公演当日、ちょっとドキドキしながら会場に向かう。
お客さんの入りはどうかしら、などちょっと身内感も持って。
差し入れも済ませた。座席もいいところを確保した。
そして幕が上がり暗がりの中に浮かんだ次男のシルエットを見たときは震えた。
セリフが始まり「あれっ」。
呼ばれて「えっ?」って返事をする時や「ゴメン」って謝るときがまったく家にいるときと同じ。
朝起きてきてぼんやりとしている時に「今日夕飯いるの?」って私に聞かれた時の「えっ?」。
「さっさとごはん食べちゃいな」と言われた時の「ゴメン」。
ちっとも役作りの必要がないじゃない。
彼は引きこもりの男の子の役で、それって彼のイメージが脚本家にそう見えたのか
まさにはまり役だった。

脚本は結構難しく、前半はずっと現実と想像の世界の切り取りで頭の中が混乱していたが
後半にその謎が解ける部分で一気に感動が押し寄せた。泣かされた。
謎解きに絡んだいた次男の演技は、普段の彼とは全く違い
そんな風に感情をあらわにできるのかと驚いた。
いつのまにやら成長していたのね。

ただ、日に日に暗~くなっていった練習の毎日は、引きこもりの役作りだったのかもしれないけれど
家族としてはちょっとやりきれない。
次は明るいお調子者の役になって欲しいな。



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